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[本]社会保障と財政の危機 鈴木亘著(PHP新書)

鈴木先生の本は、「経済学者 待機児童に挑む」がいろいろな角度から勉強になりましたので、新聞広告で拝見してすぐに発注しました。

主な内容としては、コロナ危機対策、そしてコロナ危機対策でますます危機が迫る社会保障制度についての問題意識と提言でした。

社会保障制度はいつの間にやら公費負担が当たり前となり、本来の受給と負担が国民のイメージとかなり異なることに危機感を抱かれているのが印象的でした。

税金投入は所得再分配としても理解はできるところですが、社会保険料から3割負担(でも高い)と思われているところに、実際は公費投入によって補われてようやく成り立っている状況を鑑みて、国民の判断を促すことは確かに必要なことと思います。

また、生活保護についても、「働くが負け」となっている状況で、ベーシックインカムとの関連についても興味深いご提言でした。

今回のコロナ禍において、医療保険は「中医協」を通さなければいけないところ、介護保険厚生労働省で対応可能ということで、介護保険の方が素早い対応ができたこと、しかしながらその性質上介護保険はあまり話題にならず、医療保険は話題になるといったことも、地域版中医協というご提言はありましたが、果たして変わるのか???というところです。

既存の制度を活用したほうが早いか、新たに制度を作る方が早いのか。そして給付範囲がどうできるかという点は大変勉強になりました。

年金制度改革のときに当時の坂口厚生労働大臣の答弁姿を記憶している中で、皆さん薄々気づかれている100年なんて多分もたないということは、そろそろ国民に明らかにしないとこの国はどうなるんだろうという心配を抱きます。

この本を読みまして、新聞記事で読みました「コロナ禍の対応はいずれ恒久化されます。これは予言です。」という発言が審議会であったことを思い出しました。

いずれは、既得権化していき、さらに社会保障財政が苦しくなり財政を圧縮していく。「シルバー民主主義」の中で果たしてという懸念は強く共感いたしました。ただ、シルバー民主主義とはいえ、しっかり提言をしないからこそ、現状維持選択になるわけで、この本に肉付けをしてしっかり説明をすればほんのわずかでも変わるのではないかというのが感想です。

社会保障制度をまったく知らないという方にはお薦めはできませんが、ある程度、年金・健保・介護・雇用保険を御存知であれば、一読の価値がある本と思います。

 

社会保障と財政の危機 (PHP新書)

社会保障と財政の危機 (PHP新書)